浅田次郎「おもかげ」

 

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公園の巨大石のオブジェの上から、遠くを見つめる子。

 

いったい何を見つめているんだろう?

 

僕は子供の頃には、目の前の遊びばかり気にしてたから、

「将来の事」なんか気にしていなかった。

 

ただ、

「アイデアを活かした仕事」「家を出る事」だけはいつも頭にあった。

 

さて、久々に浅田次郎を読んだ。

タイトルは「おもかげ」

電車の中吊りで見て、その足で書店で買って読んだ。

 

定年退職の日の帰りの電車で倒れ、

生死をさまよいながら、自分の出生に出会う「捨て子」の話。

 

こういう内容だと、読んでる最中アチコチでウッとなるから、

浅田次郎は電車で読めない本だ。

 

忘れていたり、忘れようとしてきた記憶は誰にでもあって、

小説はそれらを想い出させる辛い起爆剤だが、

読み終わった後での深い爽快感は、捨てがたくキレイだ。

 

だが、読もうと思って買った本が、まだ8冊もあるが、

今回の本を一気読みしたのは、

タイトルの「おもかげ」が気持ちに刺さったからだ。

 

これだから浅田次郎はやめられない。

 

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浅田次郎「おもかげ」装丁 イラスト:井筒啓之 デザイン:菊池信義

 このイラストもデザインも、秀悦だ。