山岸くん


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たまに想い出す人がいる。


小学校2年生の時に転校してきた、山岸くんだ。


彼の家はお店をやってて、
お店の引越しに合わせて、隣の学区から転校してきたのだ。


転校生なんて初めてだったし、友達が増えて嬉しかったが、
彼はシャイで口下手だったのか、
話しかけてもオドオドしてた。


学校が終われば一緒に遊べると思ってたが、
毎日ダッシュで帰ってゆくから、
僕らも毎日ダッシュで追っかけた。


僕らは、ただただ一緒に遊びたかっただけだが、
慣れない環境の中、彼にはそれがプレッシャーだったんだろう。


とは言っても、小学2年生にそんな事は思いもよらず、
何カ月もしない内に、お店ごとまた元の学校へ戻って行った。


大人になって、たまにその時の事を想い出す。


想い出しても手遅れで、
「何だか酷い事をしちまったなあ」と、
気持ちがキューッと締め付けられる。


せめて、もうあんな無配慮な事は自分にも跳ね返って辛く、
しっかりしなきゃと、うなだれる。