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紫陽花の葉っぱに、セミの抜け柄がしがみついてた。
強い雨にも負けず、殻だけなのに凄いなあ。
子供の頃は、大きな木の根っこの近くで、
いつも湿り気がある土に、穴があると掘り返し、
中からセミの幼虫をほじくり出して、紙の箱に入れてふ化を待った。
夕方になると背中が割れて、羽がクシャクシャのセミが出てくる。
出てきたセミが、殻の倍くらいでいつも不思議だった。
セミは長い時間殻にしがみついたまま、ゆっくりゆっくり羽を伸ばす。
が、この時に羽に触ると、羽が伸び切らず「飛べないセミ」になってしまう。
こんなセミの命の誕生を、毎年ドキドキしながら見ていた。
ふ化が終わったセミは、木の幹に置いて逃がすが、
抜け殻は、捕まえた数だけとって置いた。
が、夏休みが終わる頃気づくと、いつの間にか母親に捨てられ悲しかった。
田んぼも畑もないド下町の街中育ちだが、
少ない空き地や人の家の庭に勝手に入って、怒鳴られながら、
いっぱいいっぱいこんな経験をして育った。
